日経NETWORK 2022年3月号の記事の誤った解説について

昨日、購読している日経NETWORKの2022年3月号が届いた

いろいろな記事が掲載されているのだが、その中で、
「トラブルからの脱出」というトラブル事例を紹介する記事がある。

以下のリンクから、その記事のさわりが確認できる。
https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/mag/nnw/18/041800004/021600049/

簡単に概要を言うと、IPoEプランに契約して、ヤマハルーターを設置したが
設定が誤っていて、IPv6のWebサイトは見れるがIPv4のWebサイトは見れない。
というものだった。

記事では、その原因について解説されているのだけど、
明らかに説明に誤りがある。以下は記事の抜粋

記事では、ヤマハルーターの設定において、「ひかり電話に契約している」「ひかり電話に契約していない」の選択により、ヤマハルーターのconfigにおいて以下の設定行が異なり、
ipv6 prefix 1 dhcp-prefix@lan2::/64
ipv6 prefix 1 ra-prefix@lan2::/64

そのことにより、ヤマハルーターのLAN側に配布されるIPv6の情報がおかしくなる。
みたいな解説になっていた。

確かに、不具合が生じている原因の設定は、上記の設定になるのだけど、
それは、LAN側に配布されるIPv6情報によるものではない。
そもそも上記の設定は、LAN側にIPv6を配布するための設定ではない。

LAN側へのIPv6を配布する設定は、
ipv6 lan1 rtadv send 1 o_flag=on
であり、それは両者で変わらない。

うまくいかない本当の原因は、「IPv4 over IPv6」機能が正常に動作していないからだ。
記事で提示されていた設定行は、
ipv6 prefix 1 dhcp-prefix@lan2::/64
ipv6 prefix 1 ra-prefix@lan2::/64

LAN側への配布の設定ではなく、回線側からのIPv6アドレス情報をどの形式で受け取るかの
設定になる。

ipv6 prefix 1 dhcp-prefix@lan2::/64
と設定するケースは、ひかり電話を契約している回線に、NTTホームゲートウェイなどを
かいさずに、つまりONUに直接、ヤマハルーターを接続した場合の設定になる。

ホームゲートウェイが設置されている場合、ひかり電話に契約していても
IPv6の情報は、下図のように、RA方式で受け取ることになり、
ヤマハルーターのWebGUIの設定としては、「ひかり電話に契約していない」
を選ぶのが正解ということになる。

実は、ホームゲートウェイから、その下部へも
DHCPv6-PD方式でIPv6情報は配布されているのだけど、ホームゲートウェイを経由する
ことで、プレフィックス長というものが変わってしまい、ヤマハルーターで
うまく処理して、IPv4 over IPv6機能を正常動作させることができなくなる。

日経NETWORKの記事は、トラブル事例の紹介者からの考察をそのまま載せてしまっているのだと思うが、調べれば辻褄が合わないということがわかるはずなので、しっかり内容を検証して記事にしてほしい。

IP実践道場のYouTubeチャンネルでも、今回取り上げた、ひかり電話契約ありの場合の
ヤマハルーターの設定について解説しているので、そちらも参考にしてほしい。


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